壺屋のやちむん通りから細い道を入って約50ｍ。住宅街の一角に小さな食堂があります。新潟県出身の山下奈保子さんがお一人で営む『ふくみつ』です。手間ひまかけた手作りのお料理は、地域の方々だけでなく多くのお客様に愛されていて、男性女性問わず、すでにたくさんのリピーターさんが通い詰めていると言います。そんな山下さんに、お店のある壺屋や今後、このまちでやりたいことなどについて語って頂きました。
― 簡単なプロフィールを教えてください。
新潟県出身です。高校卒業後に東京に出て、専門学校を通して入ったレストランにブライダルの部署がありまして、そこでフロントやサービスのバイトをしていたのが、飲食業としてのスタートでした。その後、オーガニックのカフェでキッチンやサービスで働いたのですが、ちゃんと調理の勉強をしたいなと思い、和食の店で修行しました。
そして、その後友人の勧めもあり、2016年、沖縄に移住して『浮島ガーデン』で約1年働いたあと、2018年に独立して今のお店を立ち上げました。
真っ白な壁に赤い看板が目印。
― 今のお仕事を始めたきっかけはなんですか？
子どもの頃から料理の仕事をやりたいと思っていました。小学校の卒業文集にも「お菓子屋さんをやる」と書いていたぐらいで、家でも玉ねぎの早切りなどやっていました。以前バイト先で玉ねぎを切っていたら、あまりの速さに「おおーっ！」って驚かれたこともあります。でも、具体的に思ったのはレストランで働いていた頃ですね
当時、仕事が終わってどこかに食べに行こうと思っても、夜遅いので食べるところがないんです。そのときに、将来は隠れ家っぽくておばんざいを出すような、お店をやりたいなと思うようになりました。
初めて沖縄に来たとき、色々と『つながる』ような感覚があったんです。
― なぜこのまちでお仕事を始めようと思ったのでしょうか？
静岡にいた頃、沖縄の友人から連絡があって、沖縄移住を勧めてくれたんです。生まれて初めて沖縄旅行に来たのですが、もうそのときには移住を視野に入れていました。訪れた先々で、人や体験など色々と「つながる」感覚があったんです。
その後、再び沖縄に来た際、前回訪れた『浮島ガーデン』で求人があったことを思い出し、連絡をしたらすぐに採用して頂き、正式に移住しました。浮島ガーデンでは1年働いたあと、元々独立したかったこともあり、今の場所でお店を出しました。
シンプルでありながら、温かみのある店内。ゆっくり、自分時間で食事が出来そう。
― このまちで気に入っているところはどんなところですか？
壺屋って『古くて新しいまち』だなって思います。歴史があるまちなのに、若い方も一生懸命、まちの活動に携わっているなと感じます。私は壺屋の通り会に入っていて、集まりにも行くのですが、ても活発なんです。地元のおばあちゃんたちも私たちのことを応援してくれています。実は元々、壺屋でなく牧志周辺や北谷、浦添の港川、やんばるなどをお店の候補地として見て回ったのですが、ピンとこなかったり空き物件がなかったりして。でも、人のつながりやイベントごとが大好きな私としては、結果的に壺屋にお店を出してすごくよかったですね。
通り会の皆さんと一緒に壺屋を盛り上げていきたいです。
― 今後、このまちでどんなことをして生きていきたいですか？
壺屋やちむん通りで計画しているイベントやお祭りなどに積極的に参加していきたい、通り会の皆さんと一緒に壺屋を盛り上げていきたいと思っています。
ふくみつ としては、いずれはお弁当や料理教室もトライしたいですね。
― 5年後、10年後、このまちはどうあってほしいと思いますか？またそこに、どのような形で関わっていきたいと思いますか？
やっぱりずっと賑わっていてほしいですね。あと、壺屋は器の街ですし、お店にも器好きの方がよくいらっしゃるので、今後は食器にもこだわっていきたいです。今は元々自分で買い集めていた器や友人から譲り受けた器を使って居るのですが、今後はやちむんや沖縄の器を増やしていきたいなと。今使っている中で驚いたのは琉球漆器です。軽いし頑丈だし、乾きも早いのですごく使いやすいです。いずれはお店のスペースの一部で食器の販売をするのもいいかなと思っています。
【お店情報】
定食と喫茶のお店「ふくみつ」
那覇市壺屋 1-30-16
Tel 098-867-5833
Open 平日12:00～夕方、土・日曜日11:30～17:00
定休日：不定休
https://www.instagram.com/fukumitsu_/?hl=ja
（2019年6月時点の情報です。詳しくは直接店舗にお問合せください。）