「浮島ブルーイング タップルーム」由利光翠さん / 那覇市牧志 水上店舗第2街区3F

「浮島ブルーイング タップルーム」由利光翠さん / 那覇市牧志 水上店舗第2街区3F|このまちで生きる人 インタビュー このまちで生きる人。

那覇市牧志の浮島通りに接する水上店舗第2街区。ガーブ川の上に建てられたレトロな建物の3Fにクラフトビールを醸造する「浮島ブルーイング」の直送店「浮島ブルーイング タップルーム」があります。まちづくりのコンサルティング会社「APOLLO BREW」の代表を務める由利光翠(ゆりみつあき)さんが、「まちづくりの主体になりたい。」という想いから2018年にオープンしたお店です。コンサルと主体の両方からまちづくりに携わる由利さんに、お店のある水上店舗や浮島通りについて、今後このまちでやりたいこと、将来このまちはどんなまちであってほしいか、などについて語って頂きました。

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株式会社APOLLO BREW 代表 / 浮島ブルーイング タップルーム 由利 光翠(ゆりみつあき)さん

― 簡単なプロフィールを教えてください。

1978年生まれで愛知県名古屋市出身です。若い頃はバイトに勤しんだり、インドへ一人旅に行ったり、ミュージシャンやったりと、自活したくて割とフラフラしていたんです。音楽で食っていこうかなと思っていたのですが、出入りしていたライブハウスのオーナーが建築家の方で、その生き方がなんか良かったんです。それに憧れて建築を勉強しようと思いまして、23歳と遅めではあるんですが琉球大学に入りました。それが沖縄との出会いです。沖縄にしたのは『寒くない』から。昔、路上で寝起きしていたときもあったんですが、とにかく寒くて辛かったんですよ。

その後、大学で一緒に学んでいた仲間がまちづくりに関わるようになったんです。僕もインドに行ったときにあの混沌とした街に魅力を感じて、在学中から沖縄市の市役所やまちづくりNPOで働くことになったんです。2015年にまちづくりのコンサル会社を立ち上げ、2018年にはクラフトビールの製造事業を始めて、今のお店を2018年7月にオープンしました。

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すぐ近くにある工場「浮島ブルーイング」から毎日直送される新鮮なクラフトビール

― まちづくりからビール事業を始めたきっかけはなんですか?

コンサルをやっていたときに実感したのが、僕らはまちづくりの主体にはなれないなということ。主体になるにはどうすればいいかと考えたとき、元々お酒全般が大好きだったこともあって、地ビールがいいのではと。それに、これまでたくさんお酒にお金も使ってきましたから、そろそろ消費する側から供給する側に回るという体験をしたかったんです。

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左から、浮島ヴァイツェン、浮島ゴールデンエール、浮島IPA、久高島ヴァイツェン

実際に始めてみたら、クラフトビールって『結合性』が高いんですよ。例えば、久高島のハダカムギ、謝花きっぱん店で使用しているタンカンやカーブチーの皮、その他でもイチゴ、コーヒー、味噌など、その地域のものを取り入れるのがたやすいんです。また、地域に入っていくときに、コンサルとしてより『ビール屋』としての方が入りやすかったんですね。プロの農家さんとプロの醸造家として話ができるというか。

このあたりは『おもちゃ箱』みたいなまちですよ。

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水上店舗のレトロな外観と一転して 店内はモダンで洗練された空間。

― なぜ浮島通りでお仕事を始めようと思ったのでしょうか?

そもそもは大学院に進んだときに、研究テーマの対象地域が桜坂だったこともあって、大学の寮から浮島通りに引っ越したんです。さらに、学生時代コザで働いていたのですが、そのときの経験から、遊ぶ場所、住む場所、働く場所、子育ての場所は全部近い方がいいなと思ったんです。今は住まいも近所なので、ライフスタイルも充実しています。

― この地域を形容すると、どんなまちですか?

『おもちゃ箱』みたいなまちです。大きい箱だけど整頓されていないというか。その混沌とした中にも面白いものがあるんです。宝箱ではなくおもちゃ箱。魅力的なものもあるけど壊れているものもたくさんある、みたいな。

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「まち」として面白いものを発信していきたい。老舗もあるし、新しいコトが何かある、そんなまちであってほしいですね。

― 逆に この地域にずっと関わってきたことで感じた、このまちの課題とは?

カルチャーの発信を含めて、何かを『誕生』させていく必要があるまちだと思います。今はまだ消費するばかりですからね。例えば古本屋さんや、食べもの屋さんでも面白い店は増えているのですが、何が他と大きく違うのだろうかと。だからこそ、クラフトビールを含めて、まちとして面白いものを発信していきたい。さらに、そんなチャレンジをしやすい場所になるにはどうするべきかを、今後考えていきたいです。

― 今後、このまちでどんなことをして生きていきたいですか?

女子大を作りたいんです。キラキラ輝いている女の子が大好きなんです。女性がやりたいことをやっている姿は、もっと社会の中にあっていいのではと。沖縄はロマンやファンタジーの塊だと思っているんですが、それを魅力的、前向きに発信できる女性が増えてほしいんです。そんな、女性の持っている魅力を輝かせるような学校ができないかと思っています。

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― 将来、このまち、そして沖縄はどうあってほしいと思いますか?またそこに、どのような形で関わっていきたいと思いますか?

公設市場エリアは時代の最先端を生きてきたはずのエリア。そこに新しいビジネスを興そうという方が集まる場所。老舗もあるのと同時に、新しいことがここに行ったら何かあるぞというまちであってほしい。次の一歩を躊躇なく踏み出していってほしい、そんなマインドがずっとある場所でありたいなと。その面白いまちで精一杯遊んでやりたいんです。ビールもやるし、マネジメントの仕事もやるし、その中で面白い人と手を繋いでいきたいですね。

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店内の窓からの風景。新しい建物と古い建物が混在する、今の那覇を凝縮したような光景。
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【お店情報】
浮島ブルーイング タップルーム
那覇市牧志3-3-1 水上店舗第二街区3F
Tel 098-894-2636
Open 17:00~22:00
定休日:水曜日
https://www.ukishimabrewing.com
(2019年7月時点の情報です。詳しくは直接店舗にお問合せください。)