那覇市でも『おしゃれな通り』として知られる浮島通り。入り口を入ってすぐの場所にあるのが『Cafe プラヌラ』。たくさんの紅茶や手作りケーキはもちろん、アンティーク調の店内の雰囲気に惹かれ、ゆっくりとした時間を過ごしたいお客様が訪れます。まだ浮島通りにそれほど賑わいが無かった時代からお店を営む、滋賀県出身の店主、戌亥近江(いぬいちかえ)さんに、沖縄や浮島通りへの思いを伺いました。
石や化石が大好きで『小5の男子』と呼ばれていた子ども時代
― 簡単なプロフィールを教えてください。
滋賀県出身です。短大を卒業してから、約13年間『お硬い仕事』をしていました。33歳の頃に退職したのですが、飲食の仕事をやりたいなと思ってまして、やるなら大好きな沖縄でやろうということで、35歳のときに沖縄に移住しました。最初はパラダイス通りで営業していたんですけど、そこは一人でやるには広すぎたので、2011年4月に浮島通りに移転しました。
― 小さい頃はどんなお子さんだったんですか?
鉱物としての『石』や化石が大好きでした。とにかく何かを掘って出す、という行為が大好きで。今でも滋賀の自宅近くで子供の頃に見つけた水晶を大切に持っているんですよ。ヒヌカンとして飾っています。他にも恐竜も好きで、いつも「小学5年の男子」って言われてました。短大の頃は遺跡発掘のバイトをやっていましたね。古いもの、透明なもの、極端に硬いもの、極端に柔らかいものが好きなんです。店名のプラヌラは『クラゲの幼生』のこと。私の大好きな透明で柔らかいクラゲから来ています。
『お硬い仕事』が終わってから、気分を変えるためカフェを『逃げ場』として通っていた
― カフェを始めようとしたきっかけはなんですか?
高校生の頃、喫茶店でバイトをしていまして、そこはケーキも手作りしたりと、すごく楽しい職場でした。でも、当時は将来お店をやろうとは思ってなかったんですが、『お硬い仕事』をしていたとき、仕事が終わっても直接帰りたくなかったんですね。気分を変えるためにカフェとかを逃げ場というか、第三の部屋みたいに使っていたんです。なので、お客様にもそんな風に使って頂けるお店にしたいと思ったのがきっかけです。
― なぜパラダイス通りと浮島通りでお店をやることになったのでしょうか?
パラダイス通りでは、お食事をメインに出していたお店だったのですが、とあるきっかけで、私が一人でやることになったんです。どうしようかと悩んでいた時に、たまたま知り合いが、現在の店の場所が空いてるからどう?と教えてくれたんです。家賃も安く、広さもちょうど良くて、紅茶とケーキと軽食なら私一人でもできるなということで、まさに渡りに船のタイミングでした。
― 長い間身を置いてみて感じた、『沖縄』や『浮島通り』というまちの特徴や変化はなんですか?
沖縄の特徴だと思うんですけど、全く人通りがなかったり、お店がない場所でも、一ついいお店が出来ると、店も人も集まってくるように感じます。まち全体が生き物として動いているなと、すごく感じますね。しかも、出来たお店同士はすごく仲が良くて、お客さんを紹介したりと協力しあっているんです。
個人店として大切な役割があるはず。それを多くの人と共有しまちづくりに活かしたい
― 沖縄での生活で『これは驚いた』ということはありますか?
普通お店出す時って、工務店さんとか、専門の業者さんにお願いしなければならないので、どうしてもお金がかかりますよね。でも、沖縄では個人の方や職人さんが、水道、内装、家具など何でもできちゃう方が多いんです。私も今のお店を始める時、すごく助かりました。なので、お店をやってみたい方やスタートアップの場としては、とても面白い場所だと思います。
― 5年後、10年後、このまちはどうあってほしいと思いますか?またそこに、どのような形で関わっていきたいと思いますか?
この辺りは、個人店として商売させて頂ける土地柄や地域性があり、みんなも頑張っているまちなので、それがずっと続けばいいなと思います。まちが変わりゆく今の時代、個人店の役割は何なのか、そして、地域づくりの一つを担っているのだということをみんなで共有したいですね。例えば、観光客の方々も、私達のような小さなお店を回りつつ、地域を歩いてみたいという方も多いことを、沖縄に移住して実感しています。これらのことを、行政を始めとするまちづくりに関わる多くの人たちと共有していければと思っています。
【お店情報】
Cafe プラヌラ
那覇市壷屋1-7-20
Tel 098-943-4343
定休日:火曜、水曜
https://www.facebook.com/planura4343/
https://www.instagram.com/explore/locations/254570293/cafe/