初めての方は「こんな所にこんなお店が!?」と思わず驚いてしまうでしょう。『珈琲屋台ひばり屋』は、桜坂の狭い路地を入り、沖縄らしい古い住宅に囲まれた場所にあります。お庭のようなスペースで、木製の椅子やベンチで風に吹かれながらのんびりと過ごすのも良し。お店を営むのは、そんな沖縄の風が大好きという千葉県出身の辻佐知子さん。2004年から珈琲屋台を続けている辻さんに、まちの魅力や今後やりたいことなどを伺いました。
― 簡単なプロフィールを教えてください。
千葉県の稲毛海岸出身です。2004年に沖縄へ来るまで千葉にいました。高校卒業後に映像の専門学校に通いまして、卒業してからも学校に残って業務を2年間担当していました。そのあとは清里高原でバイトしながら自主制作の映画を撮っていたんです。
映像関係の活動はそこで終わりにして、その後、広告代理店に入りました。25~26歳から30歳ぐらいまで働いていたのですが、そのうち、現場で物を売っている人たちがうらやましくなっちゃったんです。代理店の仕事って、手配や立ち会いが多いじゃないですか。なので、しばらくしたら現場の方がいいじゃん、と思うようになり、特に飲食の現場で働いてみたくなったんです。
― 珈琲屋台のお仕事を始めたきっかけはなんですか?
実はそれまでコーヒーってあまり得意じゃなかったんです。ですが、代理店にいた頃、取引先でコーヒーの大手メーカーさんがいらっしゃったんです。退職後にも辞めた会社から、個人でPRの仕事を頂いていたんですね。その中の一つがコーヒーの大手メーカーさんのお仕事だったのですが、そこで扱っていたコーヒーがすごく美味しかったんです。その仕事が終わる頃には、コーヒーが好きになっていました。
広告代理店を辞めた後は、3年間ぐらい飲食のバイトをしたり、ボランティアスタッフをしていました。新橋のブリティッシュバーで働いていたとき、新橋から東京駅まで歩いている途中、いきなり“沖縄でコーヒーの屋台をやろう!”と思ったんです。『ビビビッ!』と降ってきたんですよ。2004年1月でした。そして、衝動的に沖縄に来てしまったんです。
『ひばり屋』がまちの風景の一つになったら嬉しいなぁ。
― なぜこのまちでお仕事を始めようと思ったのでしょうか?
沖縄は『風』が気持ちいいので大好きなんですよ。沖縄最大の魅力は絶対に『風』だと思います。その風を感じてもらいたくて屋台をやろうと。『ひばり屋』がまちの風景の一つになったら嬉しいなあと思っています。最初はパラダイス通りの裏でオープンしまして、その後は美栄橋、そして今の場所に来ました。
― このまちにずっと住んできて感じた、まちの特徴や変化はありますか?
私が移住した2004年当時の沖縄には、こんなにコーヒー屋さんがなかったんです。また、外国人の観光客も少なかったので、繁忙期と閑散期がはっきりしていたという印象です。
そんな中、店がわかりにくい場所にあっても、それがデメリットに感じた事はないです。おそらく、ブログやSNSの普及していた時期と重なるので、個人の方が発信してくださったのではと思っています。
― 今住んでいる『那覇』って、ひと言で言い表すとどんなまちですか?
ものすごくミニマムサイズの都会だなって思います。大きいお店もあれば、こだわりを感じる個人のお店もあったりと、下町っぽさと都会っぽさが程よく融合しているところもいいですね。そして、都会なのに人の繋がりがあるまちだと感じます。
建物も人間関係にしても、何が『宝』なのか、と考えることが大切ですよね。
― 今後、このまちでどんなことをして生きていきたいですか?
このコーヒー屋台をこの空間で死ぬまでやりたいです。うちに来る方はお話が好きなお客様もいれば、のんびり読書しているお客様もいたりと、そんな風景を見るのが大好きなんです。それぞれの『お部屋』というか、居場所になってほしいなと。
― 5年後、10年後、このまちはどうあってほしいと思いますか?またそこに、どのような形で関わっていきたいと思いますか?
これまでご年配の方にすごくお世話になってきました。建物にしても人間関係にしても、何が『宝』なのか、と考えることがすごく大切なのでは。例えば、廃れてしまっている建物や空き地などを活用しようという動きがあれば、ぜひ企画に協力したいです。人が来れば『風』が変わりますしね。そのためには、早く大儲けしてお金を出せるようにならないとですね。
【お店情報】
珈琲屋台ひばり屋
那覇市牧志3-9-26
Tel 090-8355-7883
Open 10:30~19:00
定休日:不定休
Twitterアカウント:@hibariyasachiko
https://www.facebook.com/hibariko/