沖縄は個性的な個人営業のお店が多いですよね。カフェや雑貨店など、今日もどこかで新しいお店がオープンしています。お店は「まち」に無くてはならない大切な存在。これから地元に根差して「まち」の顔となりそうな、そんな新しいお店をご紹介していきます。
『島cuisineあーすん』さんは那覇市金城に2020年10月2日にオープン。
ゆいレール小禄駅やイオン那覇店さんからほど近い、小禄・金城の閑静な住宅街にある一軒家レストランです。一軒家という通り、お庭があり、日差しが差し込む広いリビングがそのままレストランになっていて、静かで落ち着いた空間で、島野菜や県産食材を美味しくいただけます。
おすすめは『旬野菜プレート 菜園仕立て』。野菜の美味しさに驚く一皿。
おすすめは『旬野菜プレート 菜園仕立て』。
たくさんの様々な野菜が活きいきと盛り付けられた美しい一皿は、思わず写真を撮りたくなります。
「やんばる産の無農薬野菜を中心に、県産野菜を使用しています。季節によってはもちろん、仕入れるタイミングによっても野菜が変わってきますので、毎回違う野菜と出会っていただけるとおもいます。県産野菜もいろいろあって、沖縄県民の方でも知らないような珍しい野菜も入ってたりしますよ。」と小林さん。
添えられたレモンをぎゅっと絞って、まずは野菜そのままをいただくと、どの野菜も味が濃いというか、甘さだったり風味だったり、その野菜そのものの味を感じることが出来、うん 美味しい!
そしてもう一つ添えられているのが『イナムルチー風味のアンチョビクリーム』。そう、うちなんちゅなら誰でも知っているあのイナムルチー味噌がベースのクリームで、これがまた絶品!
野菜の美味しさをグッと引き立てています。野菜だけじゃなく、白身の魚やチキンにも合いそうです。
「野菜だけでも十分美味しいんですが、野菜がたっぷりあるので、このクリームを付けながら食べていただくと最後まで楽しんでいただけると思います。」と小林さん。
野菜がメイン(スープ・パン付き)、ということで、足りるかな…と心配になる方もいるかもしれませんが、カボチャやサツマイモ、ゴーヤーやひよこ豆など歯応えのあるものも入ってますし、自家製の今帰仁アグーハムも入っていて、食べ終わると心地良い満足感。「この野菜は何だろう…」と一つ一つ確認しながら、味わって食べるせいもあるのかもしれませんね。
また
「沖縄の野菜の旬は冬なので、これからが野菜を楽しめる季節。観光客の方にも、ぜひ沖縄の冬を楽しんでほしいですね」と小林さん。
一皿に広がる新しいタコライスの世界
うちなんちゅのソウルフードのタコライスも、あーすんさんならではのスタイルです。
なんともお洒落な仕上がりの『今帰仁アグー スパイスタコライス』。
スパイスの効いた今帰仁アグーとたっぷりの島野菜にチーズがかかっています。
粗挽きの旨みたっぷりの今帰仁アグーに、スパイスがいい感じです。不揃いの今帰仁アグーは食感も楽しめます。たっぷりの島野菜と混ぜながら、そして目玉焼きをくずして混ぜればもう最高です♪
スパイシーなこの味付けは何ですか?と尋ねると、
「カレー粉が入ってるの?と聞かれますが、そういった調味料は使ってません。様々なスパイスを組み合わせて表現しています。今帰仁アグーに様々なスパイスとカレーリーフ・ローリエ・琉球シナモンの葉、そしてあとは塩だけなんですよ。」
シンプルな味付けなのに、いろいろな旨味や香りを感じることに驚きました。スパイシーなのに旨味があって奥が深い。こんなタコライスは他では味わえないですね。
そして食感も楽しい。
「そうですね、いろいろな野菜に今帰仁アグー、ひよこ豆も入っていますので、食感と味わいが食べるところによって変わるように、一皿の中でいろいろな食べ方ができるようにしています。」
使用している様々なスパイスは県産スパイスが中心だそう。
「今は県産スパイスの種類や生産量が少ないので、年中とはいかないのですが時季によっては全部県産スパイスで仕上げています。沖縄はスパイス生産の可能性に満ちていると感じてますので、全部沖縄県産のスパイスでこのタコライスを作れるよう、県産スパイス生産者の方々を応援していきたいです。」
食べ終わると、スパイスの効果なのか、爽快な気分!
私たちが大好きなタコライスがこんなにもお洒落に、そして大人っぽくなるなんて。タコライス、まだまだ進化していきそうですね笑
因みに、ライスは羽地米を使用しているそうで、全部県産スパイスが揃えば、まさにALL沖縄なタコライスになりますね。
その他、『季節のランチコース』(要予約)もおすすめ。ちょっとした記念日ランチなどで密かに人気だそうです。休日の昼下がりに、ゆったりランチコースをいただくのもたまにはいいですね♪
Farm to table。豊かな島の恵みをそのまま届けたい。
野菜の美味しさ、その素材の存在感を強く感じる『島cuisine あーすん』さんのお料理。
コンセプトにある『Farm to table』について伺うと、
「一番は、目に見えるところから直接仕入れたい、それをお客様に提供したいという部分が大きいです。そして無農薬で頑張って作っている農家さんを応援したいです。沖縄には素晴しい食材が沢山あるので、地元で採れた物を食べて地元の良さを知って欲しいなぁと思っています。それに食材は移動させない方が食材のためでもあるので、地元で食べた方がいいですよね。経済的にも、県産のものを県内で消費した方がいいですし。」
農家さんが頑張って育てた野菜を大切に扱い、素材本来の良さを活かした一皿に仕上げる。
そんな想いを込めた丁寧な仕事が、一皿に詰まっているように感じます。
そして野菜と同じように小林さんがこだわっているのが『在来品種』。
タコライスで使用している『今帰仁アグー』やコース料理で登場する『小那覇牛』は、実はなかなか口にすることができない希少な品種だそう。
『在来品種は環境に強いけれど育てるまで時間がかかるなどコストがかかるし生産量も少ないので結果的に高価になってしまい、なかなか出回らないんです。でも、食べないと命がつながらない。無くなってしまえば、もう取り戻せないんです。せっかくの沖縄の在来種。沖縄らしいものを残していきたいなと思って。だから使うことで絶やさないように、残していきたいと思っています。もちろん、味も素晴らしいんですよ。」
いろいろな農家や畜産家などの生産者さんをまわったという小林さん。今 食材を仕入れている生産者さんは
「食材の味と人柄で決めました。出会いを感じたというか、 “ご縁”を感じました。」
そして、
「店名にもなっている『あーすん』という言葉は沖縄の言葉で”合わせる”という意味があるんです。一生懸命作物を育てている農家さん・畜産家さん、食材を活かす料理、そしてそれを食べていただくお客様。人との出会い、素材との出会い、味との出会い。そんないろんなことが、ここで合わさって新しい何かが生まれるといいなぁと。そんな想いでみんなで頑張っていきたいです。」
『ご近所に愛されるレストラン』にしたいですね。
『島cuisine あーすん』のある那覇市金城周辺は閑静な住宅街。古くから住んでいらっしゃる方も多いそう。
「いろいろなご縁が重なって、この場所でお店をオープンすることになったんですが、コロナ禍の中で、いろんな事が以前とは違う世の中になって、やっぱり ”地元の方に愛されるお店” じゃないといけないな、とスタッフ皆で感じていました。近所に、気心が知れていて、美味しくて、安心なお店があったらいいですよね。いろいろな事があるけれど、ふらっと立ち寄れたり、ちょっとしたお祝いに利用できる、そんなお店が近くにあると嬉しいでしょう?だから、ご近所の方々にとってそんな存在のレストランになりたいです。」と小林さん。
そんな小林さんとお店スタッフの方の想いは、早くもご近所の方に届いているようです。
10月2日のグランドオープンに先駆けて、プレオープンとしてご近所の方々をお招きして『ご招待ランチ会』を開催したそうなのですが、そのご案内に伺った際に、どのお宅もとても温かく迎えてくださったそう。
「コロナもあるので、見知らぬ人が突然尋ねてきたら敬遠されるかなと思ったんですが、どのお宅も温かく応対してくれて嬉しかったです。お祝いのお花までいただいて。スタッフ皆で胸が熱くなりました。ありがたいです。」とスタッフの滝澤さん。
オープンしてまだ間もないですが、「近所なんですよ」と来店いただく方も多く、早くもリピートのお客様が多いそう。ご近所から温かく迎えられているようですね。
島の恵みを再発見できる場所になれば
最後に、お客様に何かメッセージをください、とお願いすると、
「のんびり気軽に食事しながら、沖縄の島の恵みを再発見出来る場所になれば嬉しいです。」と小林さん。
お皿に広がる島の豊かな恵みたち。
素材に向き合い、素材の良さを活かし合わせることから生まれる新しい島の味(cuisine)。
あーすん、という言葉の響きが印象的なゆったりした時間が流れる空間で、島の恵みを再発見できる、素敵なレストランです。
島cuisine あーすん
那覇市金城5丁目13-5
Tel 098-851-5360
Open 11:00-14:00(ランチ)14:00-17:00(カフェ)
定休日 火曜
https://earthen069.business.site/
https://www.instagram.com/earthen_069/
https://www.facebook.com/earthen069
(2020年10月時点の情報です。詳しくは店舗に直接お問合せください。)