『那覇 そば処 たからまちがー』さんは那覇市高良の閑静な住宅街に2021年4月29日にオープン。築53年の古民家をリノベーションし「古き良き、懐かしい沖縄」を感じるお店で、無化調にこだわった沖縄そばを提供しています。
『最後まで飲み干せる』こだわりの無科調スープ
3時間かけて取るという沖縄県産鶏と鹿児島県・枕崎産の花かつお出汁をベースに、前日に8時間以上水出しした利尻昆布出汁を合わせたスープは濁りのない透き通った美しさ。一口いただくと、口中にふくよかな味わいが広がります。
「最後まで飲み干せる、そんなそばが作りたかったんです。」と店主の上原さん。
上原さんは、那覇市安里の人気酒場『大衆酒場 八六(ハチロク)』も経営しており、そば家は初めてだそうですが長年の和食・洋食での経験が出汁の取り方やそば作りに活かされていると言います。
「県産とフランス産の3種類の塩で味を整えています。毎日同じように出汁をとっても、微妙に差が出ることもあります。味見が正確にできるよう、朝はご飯は食べず水を飲むだけにして、まずスープの味を確認しています。」(上原さん)
雑味のない、すっきりとした、でも優しいふくよかな味。
こうした毎日の丁寧な仕込みが、スープに表現されているのですね。
そして、そんな美しいスープをまとう細めのストレート麺は豊見城の亀浜製麺所のもの。
「茹で上げてサラダ油をまぶしてある、昔ながらの製法で作られている麺です。最近は生麺を使用するそば家も増えてますが、自分はやっぱりこの方が好きなので。うちのスープにも合いますし。」(上原さん)
鶏と鰹節の出汁に、豚のエキスが器の中で合わさる世界
ソーキと三枚肉は低温で8時間、軟骨ソーキも低温で12時間かけてじっくり炊き込みます。
醤油で炊き込んだ茶色いソーキや三枚肉が一般的ですが、たからまちがーさんのものは色白で上品な雰囲気。
「炊き込む際に無添加の白醤油も使いますが、基本は塩で味を整えています。」(上原さん)
一見、味がするのか?と思いましたが、
豚肉本来の香りと旨み、甘みを感じます。
そしてチャーシューのように巻いた三枚肉が特徴的。
「巻いた豚肉をチャーシューのようにカットすると、断面から豚のエキスが出るんです。それが鶏と鰹節の出汁と器の中で合わさり変化して、より旨みが増すと思います。」(上原さん)
確かに、いつも食べている三枚肉そばとは全く違います。
鶏・鰹・豚の3つが実に豊かな味わいです。
そして、そばと一緒に食べたい、じゅーしぃとお稲荷。
上原さんのお母様が
「何十年もかけて美味しいと言えるレシピにたどり着いた」というふーちばーじゅーしぃが出汁の効いたそばにぴったり。
自家製いなりは、毎月少しづつ違う味を予定しているそうです。毎月楽しみですね。(撮影時は、沖縄県産の山椒フレーバーをあしらったもの)
また、沖縄そばに欠かせない名脇役・紅生姜とコーレーグースも手作り。
「出汁にこだわっているので、紅生姜もコーレーグースも自家製にしたい」と、
紅生姜は高知県産の新生姜を皮ごと使い、大分県産の梅酢でほんのりピンク色に。
食べてみると、見た目の印象と違い、シャキシャキとした歯応えとスッキリした生姜の辛みがあり、こだわりのスープによく合います。
コーレーグースは忠孝酒造の泡盛で作っているそう。
数滴入れるだけで、スープが一段美味しくなります。ぜひ入れてみてください。
築53年の古民家に一目惚れ
お店のある那覇市高良は、戦後いち早く栄えたまち。
その面影は今も残り、昔懐かしい沖縄らしさを感じられる地域です。
「古民家を探していたというわけではないのですが、たまたま見つかって。もう一目惚れでした。」(上原さん)
間取りや天井などは、ほぼそのまま使用しているそうです。
大家さんが大切にされてきたことがよく感じられます。
そして、店内奥には、リノベーションしたお部屋が。
座敷とはガラリと雰囲気が変わる、お洒落な空間。
日差しがとても気持ちがいいです。
そして、面白いのが、これ↓
席番号が ”うちなー苗字” なんです笑
席札にあるQRコードから、その苗字に関するプチ情報も知ることができます。
沖縄独特の苗字たちは、観光客の方に楽しまれそうですし、
うちなんちゅにとっても、話のネタになりそうです。
因みに席番は21番までで、お席番号1番の苗字は、アノお名前。
そう、沖縄の多い苗字ランキング堂々1位のアノお名前です笑
ぜひお店で確認してみてください。
地元に愛されるお店にしていきたい。
「地元にやっとお店を開くことができた」という上原さんは、高良のお隣の具志出身。
大家さんもそば家を開くことを喜んでくれたそうで、
遠方から来るお客さんもいますが、やはり地元の方が多いそう。
「杖をついて来てくださる方もいらっしゃって、嬉しいです。」(上原さん)
最後に、
これからどんなお店にしていきたいですか?と尋ねると、
「この建物と敷地は、将来、大家さんのお子さんに引き継ぐことになっていて、それまでの賃貸契約(18年間)になっています。契約満了まで、精一杯、地元に愛されるお店にしていきたいですね。」と上原さん。
心地よい風が通り抜けるのを感じながらいただく
やさしくふくよかな味わいのそば。
まるでオジィオバァの家に遊びに行くように、
ふらっとそばを食べに行きたくなる、そんなお店です。
那覇そば処 たからまちがー
那覇市高良1丁目6-13
Tel 098-955-0240
Open 11:00-15:00
定休日 木曜
https://www.takaramachiga.net/
https://www.instagram.com/takaramachiga_/
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https://twitter.com/okisoba_takara
(2020年5月時点の情報です。詳しくは店舗に直接お問合せください。)