仕事も地域も 大切なのは「人付き合い」 / 一級施工管理技士 目取眞 正宏 インタビュー

― 簡単なプロフィールを教えてください。

1977年生まれ、沖縄市与儀出身です。結婚するまでは与儀にいました。高校卒業後、専門学校で建築（法規、構造計算など）を学び、大鏡建設に就職しました。

― 普段はどんなお仕事をなさっているんですか？

主に2LDKの共同住宅を規格化して建築コストを落としていく、そして施主に安くご提供していくためにどうすればいいか、ということを企画開発しています。施工管理、品質管理、工程管理、原価管理が主な業務です。建築業界全体が人件費や資材費の高騰によりコストが上がっていく中、逆行するようなことでもあり、とても大変な仕事ですね。

― この仕事を選んだきっかけはなんですか？

実は元々建築に憧れとか、進もうとかは思っていなかったんです。しかし、父親が建設の設備関係の仕事をしていたので、話を聞く機会がありました。父としても、建築関係などの技術職として手に職を付けてもらいたいと思っていたようなんです。いろいろ考えて、建築の勉強をしようと思い、専門学校に入学しました。

― なぜ大鏡建設に入社したのですか？

入社は98年になるのですが、当初は設計事務所希望で、構造設計をやりたかったんです。でも、当時は全く求人がなかった。先生に相談したところ、施工現場で技術を身に付けてから設計に行ってもいいのでは、とアドバイスがあり、求人のあった大鏡建設に入社しました。

「協力会社があってこそ」に気づいたのが 今の仕事のベース

― 印象に残っている、またはターニングポイントとなったお仕事はありますか？

23歳のとき、初めて公共工事の案件を担当したんです。そのときに、民間と公共工事の違いを学べたことです。公共工事は確認事項や検討事項がたくさんあるため、協力会社のサポートが欠かせないんです。そこで、私たちの仕事は協力会社あってこそだと実感したのです。これが今の仕事のベースになっています。

もう一つは、4年前に担当した茶室づくりです。そもそも私も業者さんも慣れていないだけでなく、規格化した資材が使えないこともあり、とても苦労しました。ですが、この案件で、昔ながらの日本人の技術や日本家屋の奥深さに触れられたことはいい経験になりました。

― 仕事の中でどんな作業が好きですか？

施工図を書くのですが、図面にしていく作業が割りと好きです。施工図は設計図を元に要点を集約し、協力業者さんに渡します。いわば『指示書』のような役割があります。施工図を書くに当たって、「読みやすい」「わかりやすい」「正確さ」が求められるのですが、きちんとしていれば現場がスムーズに進みます。とても大変な作業である反面、やりがいのある作業です。

大切なのは「人付き合い、コミュニケーション」だと思う

― 仕事に対して大切にしていることを教えてください。

やはり『コミュニケーション』ですね。施主様がいて協力会社がいて、我々がいる、それぞれ役割が違う分、コミュニケーションをうまくとり、打合せ段取りを行う事が出来れば、仕事もうまくいくと思っています。

― 理想とする『沖縄のまちの形』はどんなまちですか？

最近は、建物の作りも含めてみんな人の目を気にし過ぎなような気がします。なんだか閉鎖的だなと。そこをもう少し開放的な作りだといいのではと思います。私たちの世代は地域の中でのコミュニケーションがあって当たり前でした。最終的には人付き合いだと思うんです。それが地域の活性化など、何かしらに繋がるのではと思います。

― 好きな建物を建ててよい、と言われたらどんな建物を建ててみたいですか？

それが全く思い付かないんですよ。というのも、施工管理をしている人って、人のものは作りますが、自分のものは作らない、という人が意外にいるんです。家を建てる労力を知っているので、仕事の合間を縫ってプライベートで同じことができるかというと、できないというのがホンネです・・・。でも、もし好きなだけ時間とお金があるのなら、そのときは考えるかと思います。