建築に関わる様々な方に、お仕事や建築、まちについての思いをインタビュー。第3回目は大鏡建設株式会社 計画推進部部長の竹内洸一さんです。
― 簡単なプロフィールを教えてください。
1961年生まれ、千葉県勝浦市出身です。高校卒業まで勝浦におりまして、東京の建築専門学校に進学、卒業後、横浜の建設会社に就職しました。仕事は現場監督でした。横浜市のスポーツセンターや庁舎、山下公園の一角にある休憩所のような建物など、主に公共工事の現場を担当しました。
― この仕事を選んだきっかけはなんですか?
父親が木造建築の大工だったんです。小学生のときに自宅を建て替えたのですが、そのときに見た父の姿がかっこよくて。小学校3~4年の頃には大工さんになるんだと思っていました。かんなを使って木を削るときに、薄い鰹節みたいなのが出ますよね。あれも遊び道具でしたから、小さいときから木にずっと馴染んでいたんです。
― なぜ大鏡建設に入社したのですか?
横浜の会社に約20年いました。40歳ぐらいの頃、家内と沖縄に旅行に来たんです。石垣島に行ったのですが、そこで見た海に感動したんですね。生まれ育った勝浦の記憶が蘇ってきたんです。そもそも家内が沖縄好きだったこともあり、いつかは沖縄に移住したいと言ってたんです。
定年後かな、と思っていたのですが、その年齢だと遊べないじゃないですか。子供もまだ小さかったので、仕事も決めず住まいだけ決めて、2003年移住しました。その後、ハローワークに行ってみたところ、大鏡建設の求人があったので応募して入社しました。もう16年目になります。
― 普段はどんなお仕事をなさっているんですか?
4年ぐらい前に新しい部署として計画推進部が設立されて、立ち上げから部長として携わっています。予算見積もりの積算をしたり、利益が出るか赤字になるかシビアに判断する部署です。この計算を見誤ると会社全体の利益が無くなってしまいます。
さらに、コストを落とすため、またお客様のリクエストにお応えする際、工法や材料でふさわしいものがないか、どうすれば改善できるかなど、技術的な提案もおこなっています。
24歳の頃に志願した施工図の仕事。そこで得たやりがいや自信が今に繋がっている
― これまでのお仕事でターニングポイントになったこと、印象に残っていることはありますか?
24歳ぐらいの頃、横浜市の公共工事に関する施工図を描く仕事があったんです。その頃はまだまだ雑用ばかりだったのですが、とにかく責任ある仕事がやりたかったので志願しました。当然、能力が追いついていないので、1年半ぐらい、ほぼ毎日夜中12時まで残業していました。
でもそうなると、図面のことも物件のことも一番知っているのは私になりますよね。なので、職人さんもどんどん聞いてくるようになって、二週間に1回しか休みがなかったのですが、とてもやりがいがありました。長い時間をかけて完成した建物から足場が解体されて、姿が見える瞬間、なんとも言えない気持ちになりました。今でもその瞬間が大好きなんです。
― 沖縄に来て感じたカルチャーショックはありますか?
やっぱり『人』ですね。職人さんの気質が違うんです。例えば内地の職人さんの場合、彼らの作業場所は、前もって片付けや掃除をきちんとやっておかないと「自分の作業ができない」と帰ってしまうこともあり、現場も『プロが集う場』というか、ピリピリしていました。でもその分、工期を何が何でも絶対に守るんだという意識があります。そのためには夜間作業なども辞さないんです。
一方、沖縄の職人さんは、「片付けてあげるよ」「手伝うよ」と、みんなが協力し合うんです。いい環境だなぁと思いました。
― 仕事の中でどんな作業が好きですか?
新しいことを考えることが好きです。コストを落とすにはどうすればいいか、クレームをどうすれば減らせるか、改善出来るかなどに没頭してみたいですね。
― 仕事に対して大切にしていることを教えてください。
絶対に中途半端に仕事をしない、そして現状に満足しないということです。自分ができることを一生懸命、真剣に取り組むことが大事だと思っています。
レザー、木工、料理など、なんでも自分で作るのが大好き。最終的には自宅を自分で建ててみたい
― 好きな建物を建ててよい、と言われたらどんな建物を建ててみたいですか?
もう一度、工夫を凝らした自分の家を作りたいですね。今の自宅は自分で設計して建ててもらったのですが、一部は自分でもやりたいので、業者さんに「ここは自分でやりたいから残しといて」と言い、棚の加工や塗装、駐車場の壁の塗装は自分でやりました。とにかく、なんでも自分で作るのが好きなんです。レザークラフト、子供の机、料理、釣り道具など、できる限り自分で作っています。『作る工程』が好き、特に構想を練っている時が私にとっては至福の時間です。
一級建築施工管理技士
1961年生まれ、千葉県勝浦市出身
大鏡建設株式会社 計画推進部 部長
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